絵を描いたあと、気がつくと手や洋服、さらには思いもよらないところにまで絵の具がついている――そんな経験はありませんか?
特に子どもと一緒にお絵描きを楽しんだあとには、どこに飛んだのか分からない色が残っていて、洗濯でも簡単には落ちず、つい悩んでしまうものです。
そんなとき、意外にも役立つのが「歯磨き粉」。
「えっ、歯磨き粉で絵の具の汚れが落ちるの?」と驚くかもしれませんが、実はこれがとても効果的なんです。
今回は、なぜ歯磨き粉が絵の具汚れに効くのか、その理由と具体的な落とし方の手順を分かりやすくご紹介します。
なぜ歯磨き粉で絵の具が落ちるの?
多くの歯磨き粉には「研磨剤」が含まれており、この成分が絵の具の色素や汚れを物理的に削って落としてくれる働きを持っています。
歯を磨いたときに感じるわずかなザラザラ感、それが絵の具除去にも応用できるのです。
ただし注意したいのが、子ども用や低研磨の歯磨き粉。これらは研磨成分が少ないため、汚れ落としにはあまり向いていません。
使用する際は、一般的なタイプの歯磨き粉を選びましょう。
実践!歯磨き粉を使った絵の具汚れの落とし方
それでは、歯磨き粉を使って絵の具汚れを落とすための具体的な手順をご紹介します。
① 汚れをぬるま湯でふやかす
まずは、汚れた部分を40〜50℃ほどのぬるま湯に浸して、固まった絵の具をやわらかくします。これによって、汚れが落ちやすくなります。
② 洗剤で軽く下洗い
次に、一般的な洗濯用洗剤を使って軽く手洗いをします。ここでは、多少絵の具が残っていても問題ありません。
③ 歯磨き粉でこすり洗い
歯磨き粉を直接、汚れがついた部分に塗り込みます。そして、古い歯ブラシや小さなブラシで円を描くように優しくこすりましょう。すると、絵の具が少しずつ浮き上がってきます。
④ 石けんで仕上げのもみ洗い
一度水で流した後、固形石けんや液体石けんでもう一度もみ洗いを行います。これで残った汚れもかなり落としやすくなります。
⑤ 落ち切らない場合は繰り返し
もし汚れがまだ残っているようなら、③と④の工程をもう一度行ってみてください。数回繰り返すことで、しつこい汚れも次第に目立たなくなります。
気をつけたいポイント
この方法は多くの汚れに対して有効ですが、強くこすりすぎると生地を傷めてしまう可能性があります。
とくに薄手の素材やデリケートな衣類は、力を入れすぎずに優しく処理しましょう。
また、歯磨き粉の代用品として「クレンザー」を使うこともできますが、こちらも同様に研磨作用が強いため、少量ずつ使い、状態を見ながら作業を進めるのがコツです。
歯磨き粉がなくても大丈夫!身近な道具でできる絵の具汚れ対策
絵の具汚れを落とすのに歯磨き粉が効果的なのはよく知られていますが、いつも手元にあるとは限りませんよね。また、別の方法も知っておきたいという方も多いはず。
そこで、家庭にある日用品を使って絵の具の汚れを落とすテクニックをご紹介します。
特に「アルコールジェル」「酸素系漂白剤」「重曹」の3つを組み合わせた方法は、非常に実用的です。
アルコール+重曹+酸素系漂白剤の“合わせ技”で強力除去!
水性絵の具による汚れには、次のような手順を試してみましょう。
◯ 用意するもの
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消毒用アルコールジェル
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酸素系漂白剤(例:過炭酸ナトリウム)
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重曹
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ティッシュペーパーや古布
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熱めのお湯(40〜50℃程度)
◯ お掃除手順
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古いタオルを下に敷く
汚れが染み出しても大丈夫なように、吸水性のあるタオルなどを下に敷いておきましょう。 -
アルコールジェルを塗布する
絵の具のついた箇所にアルコールジェルを塗り、指で軽くトントンと叩くようになじませてください。 -
漂白剤と重曹をペースト状にして塗布
酸素系漂白剤と重曹を1:1で混ぜ、できたペーストをティッシュやガーゼなどで汚れにポンポンと叩くようにのせていきます。 -
仕上げにお湯で洗い流す
ある程度汚れが浮いたら、裏側から40〜50℃程度のお湯で流すと、色素もきれいに抜けていきます。
この工程は特に水性絵の具に効果的で、手間をかける価値のある方法です。
固まってしまった絵の具には…“石けんと歯ブラシ”の力技を!
絵の具が乾いてしまうと、繊維の奥までしみ込んで通常の洗浄ではなかなか落とせなくなります。
ですが、まだ諦める必要はありません。ここでは、頑固な汚れに対応するための「後処理」方法をご紹介します。
◯ 手順
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ぬるま湯でふやかす
汚れた部分を40〜50℃のぬるま湯にしばらく浸けて、絵の具の固まりを柔らかくします。 -
固形石けんを直接こすりつける
濡れたままの汚れ部分に、洗濯用の固形石けんをしっかり塗り込みましょう。 -
歯ブラシでやさしくこする
古い歯ブラシなどで繊維を傷つけないように、優しくブラッシングします。ゴシゴシ強くこするのはNGです。 -
すすいで再確認、必要に応じて再実施
一度ぬるま湯で流して確認し、汚れが残っているようなら再度繰り返します。
この方法は時間と根気が必要ですが、落ちにくい汚れに対しては非常に効果的。
まるで料理の下ごしらえのように丁寧に進めることで、驚くほどきれいになることがあります。
汚れの状態に応じて道具を使い分けよう
絵の具の汚れ方には様々な段階があり、それに応じて最適な対応方法も異なります。
以下の表に、汚れの状態別のおすすめアイテムをまとめました。
汚れの状態 | 使用するアイテム | 補足情報 |
---|---|---|
乾いて間もない場合 | 歯磨き粉、アルコールジェル | 比較的簡単に落とせる。素早い対処がカギ |
固まって時間が経過した場合 | 固形石けん+歯ブラシ | 繊維を傷めないように優しくブラッシング |
色素の沈着が強い場合 | 酸素系漂白剤+重曹ペースト | 漂白作用で色を分解。漂白剤の種類に注意 |
家庭にあるもので簡単に実践できるこれらの方法を覚えておけば、絵の具汚れに慌てずに対応できるようになります。
お子さんとのお絵描きや趣味の制作活動も、思い切り楽しめるはずです。
必要に応じて、さらに効果的な方法や市販アイテムを取り入れるのもおすすめです。お気に入りの衣類や布製品を守るために、ぜひ参考にしてみてください。
絵を描いている最中、ふと気づくと床にポタリ、壁にベタッ…。そんな予期せぬ“汚れの事故”は、子どもとのお絵描き時間や制作活動でよく起こります。
特にカーペットや壁紙のような素材は、一度汚れると落とすのがひと苦労。
次に衣類以外の「床」「壁」「カーペット」などに絵の具が付着した際の効果的な対処法を、素材ごとに詳しくご紹介します。
まず何より大切なのは「乾く前に拭く」こと
絵の具が付いてしまった場合、最も重要なのは“すぐに対処すること”。
乾いてしまう前に行動できるかどうかで、落としやすさが大きく変わります。
濡れているうちに、よく絞った布やティッシュで優しくトントンと叩くように拭き取りましょう。
このとき、ゴシゴシと擦るのはNG。汚れが広がったり、繊維や表面に染み込んでしまう可能性があります。
床についた絵の具:状態別に適切なアプローチを
フローリングやビニール素材などの床に絵の具がついた場合は、汚れの状態に応じて対処法を変える必要があります。
汚れの状態 | おすすめの対処法 | 注意点 |
---|---|---|
まだ乾いていない | ティッシュなどでやさしく摘み取る | 強く押しつけると汚れが広がる恐れあり |
完全に乾いている | 絵の具リムーバーやクレンジングオイル | コーティングの剥がれに注意。必ず目立たない場所でテスト |
● 絵の具リムーバーを使う方法
画材店で販売されている専用リムーバーは、乾いて固まった絵の具に有効。
ただし、溶剤が強いため、床の仕上げ材によっては表面にダメージを与える可能性もあります。
使用前には必ず目立たない場所でパッチテストを行いましょう。
● クレンジングオイルの応用
メイク落としに使うクレンジングオイルも、実は絵の具の分解に役立ちます。
綿棒や歯ブラシにオイルを少しつけてやさしくなじませ、浮いてきた色をティッシュで拭き取った後、水拭きと乾拭きで仕上げてください。
※こちらも床材によっては表面保護がはがれることがあるため慎重に行いましょう。
壁についた絵の具:より慎重な処理が求められます
壁は素材がデリケートなことが多く、強い処理をしてしまうと壁紙がめくれたり変色することがあります。
主に使えるのは以下の2つです。
-
絵の具リムーバー(専用製品)
-
クレンジングオイル(化粧品用でOK)
使用の際は、必ず目立たない部分で試してから行ってください。
また、すでに絵の具が完全に乾ききっている場合は、カッターやプラスチック製ヘラなどで表面を少しずつ削る方法もあります。
もちろん、壁紙を傷つけないよう力加減には十分注意しましょう。
カーペットについた絵の具は最も厄介。水性・油性で対応を変える
絨毯やカーペットのように繊維が深い素材は、絵の具が染み込みやすく特に厄介です。
とくに油性絵の具は手強いため、水性と油性で対処法をしっかり分けて対応することがポイントです。
● 水性絵の具の落とし方
【用意するもの】
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中性洗剤(食器用洗剤など)
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クレンザー
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歯ブラシ
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古布やタオル
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水
【手順】
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中性洗剤を水で薄め、タオルに含ませて汚れを軽く叩きます。
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クレンザーを直接塗布し、歯ブラシでやさしくこすり洗い。
-
最後に濡れタオルでしっかり拭き取って完了。
● 油性絵の具の落とし方
【用意するもの】
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除光液(できればノンアセトン)
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中性洗剤
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タオル
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水
【手順】
-
除光液を汚れに直接たらします(広がらないよう注意)。
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中性洗剤を使って、ポンポンと叩くように拭き取ります。
-
最後に水で仕上げ拭きをして完了。
※強くこすらず、「吸い取る」イメージで作業するのがコツです。
自力で落ちないときは、プロに頼る選択もあり
すべての方法を試しても汚れが残ってしまう場合や、大切な衣類・家具が被害にあった場合には、無理に自分で対応せず、クリーニングのプロに依頼しましょう。
最近では、絵の具やインク専用のクリーナーも通販などで手軽に手に入るようになっているため、創作活動を日常的に行う方は1本常備しておくと安心です。
まとめ|絵の具汚れは「素材×タイミング」が鍵!
汚れた場所 | 有効なアイテム | 注意点 |
---|---|---|
衣類 | 歯磨き粉、固形石けん、漂白剤、重曹 | 素材に応じて力加減に注意すること |
床・壁 | 絵の具リムーバー、クレンジングオイル | 目立たない場所で事前にテストするのが必須 |
カーペット | クレンザー、除光液、中性洗剤 | 擦らず叩くように作業。広がらせないこと |
絵の具汚れは一見厄介に見えますが、正しい方法を選べば驚くほどスムーズに対処できます。
焦らず冷静に、そして“乾く前にすばやく”が基本。
ちょっとした工夫と行動で、お気に入りの服やインテリアをしっかり守ることができますよ。
楽しい創作の時間を、後片付けまでストレスなく楽しめるように、ぜひ今回ご紹介した対処法を活用してみてください。