心が震えるような体験をあなたに――『Clair Obscur: Expedition 33』レビュー｜吹き替え対応の可能性から戦闘・世界観の魅力まで徹底解説

これは単なるRPGではない。「芸術」としてのゲーム体験

フランスの新進気鋭スタジオが手がけた『Clair Obscur: Expedition 33』は、ゲームという枠を超え、視覚・聴覚・感情を揺さぶる“没入体験型RPG”として、国内外のゲーマーの間で熱い注目を浴びています。

進化したターン制バトル、絵画のように緻密で美しい世界設計、そして生命と死をめぐる重厚なストーリー。

そのどれもが高い完成度で調和し、プレイヤーの心を深く捉えて離しません。

本記事では、実際にプレイして感じた魅力を余すところなくお伝えするとともに、日本語音声への対応の可能性についても丁寧に考察していきます。

世界観｜華やかさと死が同居する、幻想のベル・エポック

舞台となるのは「ルミエール」と呼ばれる都市。

19世紀末のフランス、ベル・エポックの香りが漂うこの場所は、どこか夢のような美しさをたたえています。

優雅な建築や街並み、空気の揺らぎすらも感じられるこの世界は、“プレイするアート”と言っても過言ではありません。

しかし、この美しい舞台には忌まわしい呪いが潜んでいます。

謎の存在「ペイントレス」が毎年、石碑に数字を刻むと、その年齢に達した人々が煙のように消えてしまうのです。今年の数字は33――33歳の人間が消え去る年。

主人公ギュスターヴもまた、大切な人をその呪いで失い、自ら“第33遠征隊”の一員として、この連鎖を断ち切るため立ち上がります。

物語は冒頭から衝撃的で、理不尽な運命に抗う人々の姿が胸を打ちます。

希望と絶望が織りなすストーリーは、きっとあなたの心にも強く刻まれることでしょう。

本作最大の特徴の一つが、戦闘システムに取り入れられた「リアクティブターン制バトル」です。

一見すると伝統的なコマンド式バトルに見えますが、その中には緊張感あふれるアクション要素が巧みに組み込まれています。

プレイヤーのターン中にもQTE（クイックタイムイベント）を使ってスキルの発動タイミングを図ったり、敵の攻撃に合わせて「回避」や「パリィ」を狙ったりと、緩急のある駆け引きが展開されます。

特にパリィは、タイミング次第でダメージを防ぎ、強力なカウンターへとつなげることができる重要なテクニック。

ミスすれば大きなリスクを負いますが、成功したときの爽快感は格別です。

さらに、「ピクトス」と呼ばれる装備アイテムを使ってキャラごとの特性を強化・補助できるため、アクションが苦手なプレイヤーでも、スタイルに合った戦略でしっかり楽しめるのも魅力です。

『Clair Obscur』というタイトルは、光と影の芸術技法“キアロスクーロ”に由来しています。

その名の通り、ゲーム内の光と闇の演出はまるで絵画作品を操作しているかのよう。

Unreal Engine 5によって表現されたグラフィックは、現世代のゲームの中でも屈指の美しさです。

風に揺れる布や微細な光の反射、街中に舞う花びらまでもが丁寧に描きこまれ、どこを歩いていても心を奪われます。

音楽面も実に豊か。150曲を超える楽曲群は、物語の緊張感や哀愁、そして仲間たちの絆までも彩ります。

壮大な交響曲に加え、ジャズ、ロック、民族音楽的なテイストまで取り入れられており、その多様性がプレイヤーの心を掴んで離しません。

世界観だけでなく、感情までサウンドで語りかけてくる――そんな体験を、このゲームは提供してくれます。

本作をプレイしている日本のユーザーにとって気になるのが「日本語吹き替えの有無」。

現在のところ、日本語音声は未対応ですが、開発側が「日本での人気が高まれば、吹き替えを検討する可能性がある」といった発言をしていたという情報もあります。

過去にも、海外製タイトルでアップデートにより音声が追加された事例は存在しており、完全に期待を捨てる必要はないでしょう。

特に、将来的にSwitch 2や他の次世代コンソールでのリリースが発表された際には、日本語音声の追加という展開も十分に考えられます。

今後の日本国内での盛り上がりや、プレイヤーからの声がどれだけ届くかが、鍵を握っているのかもしれません。

発売後、本作は世界的に高い評価を受け、レビューサイトではメタスコア90点超を獲得。日本国内でも、「神ゲー」と呼ばれるほどの熱量で迎えられています。

特に評価が高いのは、以下のような点です：

このように、“ストレスの原因となる要素を徹底的に排除”している点が、ユーザーから強く支持されています。

一方で、「マップがなくて迷いやすい」「パリィの難易度が高い」「キャラとの交流イベントが単調」など、気になる点を挙げる声も少なくありません。

それでもなお、「プレイしてよかった」「これこそ自分が求めていたRPGだ」という声が非常に多く、全体として圧倒的な満足感を提供していることが伺えます。

『Clair Obscur: Expedition 33』は、ゲームとしての面白さに加え、芸術作品としての完成度、そして新しいゲーム体験としての可能性を秘めた一作です。

深く心に残るストーリー、美しい映像と音楽、緊張感のある戦闘、そして人間ドラマの数々。どれか一つでも響いたなら、ぜひこのゲームに触れてみてください。

過去の名作を愛した方も、新たな刺激を求めている方も――
この作品は、きっとあなたの心を震わせる「忘れられない一本」になるはずです。